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健康経営のカギ:プレゼンティーイズムの克服とその戦略

職場における「プレゼンティーイズム」は、従業員の生産性低下だけでなく、企業の財務健全性にも影響を与えます。このブログでは、プレゼンティーイズムの根本原因を探り、従業員の幸福と企業の生産性向上に直結する具体的な改善策を提案します。健康な職場環境を実現し、企業の繁栄を支えるための一歩を踏み出しましょう。

目次

目次

  • プレゼンティーイズムとは何か
  • 1-1 プレゼンティーイズムの定義と背景
  • 1-2 従業員と企業に与える影響
  • 原因の探求
  • 2-1 職場環境と組織文化
  • 2-2 個人の健康と心理的要因
  • 従業員側からの改善策
  • 3-1 セルフケアとストレス管理
  • 3-2 健康促進と職場でのサポート
  • 企業による対策
  • 4-1 健康経営の推進
  • 4-2 職場環境の改善と働き方改革
  • 長期的な対策と未来への展望
  • 5-1 持続可能な健康経営の構築
  • 5-2 従業員の幸福と企業の成長を支える文化

プレゼンティーイズムとは何か

1-1. プレゼンティーイズムの定義と背景

「プレゼンティーイズムとは、従業員が病気や体調不良を抱えながらも出勤し、その結果、業務の遂行能力や生産性が低下している状態」を指します。

この現象は、従業員の健康と幸せに悪影響を及ぼすだけでなく、企業の生産性や経済面にも大きな影響を与えます。

生産性の低下は、プレゼンティーイズムとアブセンティーイズム(病欠や病気による休業)の合計によって評価され、企業のコストの増加につながります。

1-2. 従業員と企業に与える影響

プレゼンティーイズムは従業員にとって、長期的な健康問題を引き起こす可能性があります。
体調が万全でない状態で仕事を続けることは、症状の悪化や新たな健康問題を引き起こすリスクを高めます。また、精神的な健康にも影響を及ぼし、ストレスや燃え尽き症候群の原因となることもあります。
企業にとっても、この問題は無視できないものです。

産業医科大学の永田智久講師が発表した、原著論文(Nagata T, Mori K, et al. Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in Japanese Employers. J Occup Environ Med.)では、日本人勤労者の労働生産性を低下させる主要因が『肩こり・腰痛』がであることが明らかになりました。(PMID: 29394196

【年間1人あたりの損失額】※7月30日時点での1ドル133.24円で試算
・第一位:首の痛み/肩こり:$432.92 USD(日本円:57,684円)
・第二位:睡眠不足:$341.58 USD(日本円:45,513円)
・第三位:腰痛:$264.17 USD(日本円:35199円)

このように、プレゼンティーイズムは単なる個人の問題ではなく、社会的、経済的な影響を持つ重要な問題です。企業は、従業員の健康を重視し、健康経営に取り組むことで、この問題に効果的に対処することができます。従業員の健康を守ることは、結果として企業の持続可能な成長にも繋がるのです。

原因の探求

2-1. 職場環境と組織文化

あなたは職場でのストレスを感じたことがありますか?多くの人が「はい」と答えるでしょう。職場の環境や組織文化は、私たちの日々の仕事に大きく影響を与えます。例えば、過度の業務量、不明確な役割分担、人間関係の複雑さなどがあります。これらは全て、ストレスの原因となり得ます。

プレゼンティーイズムを引き起こす要因は、主に次の3つに分類されると言われています。

  1. 「運動器・感覚器障害」(肩こり・頭痛・疲れ目など)
  2. 「メンタルヘルスの不調」(不安感・ストレスなど)
  3. 「生活習慣及び感染症・アレルギー」(睡眠不足・風邪・アレルギー症状など)

ストレスの原因を理解することは、その解決の第一歩です。組織内でのコミュニケーションの改善、役割の明確化、適切なワークライフバランスの促進など、多くの解決策が考えられます。自分だけでなく、チームや組織全体でこれらの課題に取り組むことが重要です。

2-2.個人の健康と心理的要因

職場の環境だけでなく、私たち自身の健康状態や心理的な要因も、ストレスの大きな要因です。睡眠不足、不健康な食生活、運動不足などが、ストレスの感じやすさを高めることがあります。
また、自己評価の低さや、完璧主義のような心理的特性も、ストレスを増大させることがあります。
これらの個人的な要因に対処するためには、健康的な生活習慣の確立や、ストレスマネジメント技術の習得が有効です。時には専門家の助けを借りることも大切です。
自分自身の体と心を大切にし、バランスの取れた生活を心がけることが、職場でのストレスを減らす鍵です。

従業員のための改善策

3-1 セルフケアとストレス管理

私たちの仕事は、時にストレスが伴うものです。しかし、私たち一人ひとりが自己管理を学び、ストレスを効果的にコントロールすることで、より健康的で充実した職場環境を作り出すことができます。

セルフケアの大切さを理解することから始めましょう。これは、自分自身の身体的、精神的、感情的な健康を意識し、維持することを意味します。簡単なことから始めてみてください。
例えば、十分な睡眠を取る、バランスの取れた食事を心がける、定期的に運動をする、趣味やリラクゼーションの時間を設ける、などです。

また、ストレスを感じたときは、その原因を理解し、適切な対処法を見つけることが重要です。友人や同僚と話す、瞑想やヨガを行う、お笑いの動画を見る、プロのカウンセリングを受けるなど、自分に合った方法を見つけましょう。

3-2. 健康促進と職場でのサポート

職場では、従業員の健康をサポートする文化を育てることが重要です。健康促進に関するプログラムや計画を実施することで、職場全体のウェルビーイングが向上します。

例えば、健康的な食事のオプションの提供、運動やウォーキングの奨励、ストレスマネジメントのワークショップの開催などがあります。また、整体やマッサージのようなリラクゼーションサービスを職場に導入することも有効です。これにより、従業員は身体的な緊張や疲労を和らげ、仕事の効率を高めることができます。

メンタルヘルスのサポートも重要です。従業員が健康上の問題を相談できるようにしましょう。一人ひとりが健康に気を配り、支え合うことで、より生産的で前向きな職場が実現します。健康は私たちの最大の資産です。それを守り、育てていくために、できることから始めていきましょう。

企業による対策

4-1. 健康経営の推進

健康経営とは、従業員の健康を重要な経営指標と見なし、積極的に健康増進に取り組む企業経営のスタイルです。これは、単に医療費の削減を目指すだけではありません。従業員が健康でいることは、企業全体の労働生産性にも大きく影響します。

従業員が病気で休む「アブセンティーズム」や、何らかの健康問題で業務効率が落ちる「プレゼンティーズム」は、企業にとって大きなコストとなり得ます。このため、健康経営では、従業員の健康向上を目指し、医療費削減だけでなく、労働生産性の向上にも焦点を当てます。
企業が従業員の健康を大切にすることで、社員一人ひとりが充実した職場環境で働くことが可能になり、結果として企業の成果にもつながるのです​​。

4-2. 職場環境の改善と働き方改革

職場環境を改善し、働き方を改革することは、従業員の健康と幸福に直接的に寄与します。良い職場環境は、ストレスの軽減、ワークライフバランスの向上、そして長期的なキャリアの持続可能性につながります。
企業がフレキシブルな勤務スケジュールを提供したり、テレワークの機会を増やしたりすることで、従業員は自分の健康や家族との時間をより大切にすることができるようになります。
このような取り組みは、従業員のモチベーションを高め、職場の雰囲気を良くする効果もあります。健康な職場環境は、従業員が自分の能力を最大限に発揮し、イノベーションを生み出す土壌となります。結果として、企業はより高い生産性と競争力を実現することができるのです。

長期的な対策と未来への展望

私たちの社会や企業が直面している問題は多岐にわたりますが、その中でも特に重要なのが「持続可能な健康経営」と「従業員の幸福と企業の成長を支える文化」の構築です。
これらは、ただ単にビジネスの成功を目指すだけでなく、従業員一人ひとりの幸せと健康を大切にするという深い理解に基づいています。

5-1 .持続可能な健康経営の構築

健康経営とは、従業員の健康を企業経営の一部として捉え、健康な職場環境を提供することにより、従業員の幸福感と生産性の向上を図る考え方です。
これは単にフィットネスプログラムを提供することにとどまらず、メンタルヘルスのケア、適切な労働時間の管理、健康的な食事の提供など、従業員の健康を多角的にサポートすることを意味します。

ただ、全ての企業が高コストのフィットネスプログラムや大規模な施設を提供できるわけではありません。特に中小企業にとっては、費用対効果を考慮した実践的なアプローチが求められますので、簡単に始められる取り組みをご紹介させていただきます。

  • 低コストの健康促進活動:無料または低コストの健康促進活動、例えばストレッチ休憩の導入、歩数競争などの簡易な健康イベントの開催、健康に関する情報共有のボードやニュースレターの設置などが効果的です。
  • 従業員参加型の取り組み:健康促進のためのアイディアを従業員から募集し、実行することで、従業員のエンゲージメントを高め、コストを抑えることができます。
  • 地域資源の活用:地域の健康関連イベントや施設を活用することで、追加的な費用を抑えつつ、従業員の健康促進を支援できます。

5-2. 従業員の幸福と企業の成長を支える文化

企業文化の中に「健康への意識」を組み込むことで、従業員の幸福と企業の成長を両立させることが可能です。

  • 健康に対する意識の高揚:健康を重視する企業文化の醸成は、従業員のモチベーションを高め、生産性向上に寄与します。健康的な選択が奨励される環境を作ることが重要です。
  • 経営層の積極的な参加:経営層が健康経営の取り組みに積極的に参加することで、社内に健康への意識が浸透しやすくなります。
  • 従業員の声の反映:従業員の健康に関する意見や要望を聞き、それを経営方針に反映させることで、従業員の満足度を高めることができます。

これらの取り組みは、従業員の幸福を高め、結果として企業の成長を促進する重要な要素となります。持続可能な健康経営は、従業員と企業の双方にとっての長期的な成功への道を開くことになります

まとめ

持続可能な健康経営と幸福な職場文化の構築は、今日の企業が直面している重要な課題です。これらは、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮し、同時に幸せと健康を享受できるようにするための鍵となります。未来への展望を持ち、これらの価値を企業文化に深く根付かせることで、企業は長期的な成功を収めることができるでしょう。

<参考文献>
・東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット「健康経営評価指標の策定・活用事業成果報告書」
・厚生労働省保険局「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」
・経済産業省「健康経営オフィスレポート」
「健康経営」の枠組みに基づいた保険者・事業主のコラボヘルスによる健康課題の可視化
ポケットセラピストマガジン